伝統工芸品

Traditional crafts in Taito city

えどわざお

江戸和竿

何本かの竹を継ぎ合わせて一本の釣竿にする「継竿(つぎざお)」は、京都でまず発祥したことがわかっていますが、江戸における継竿の発祥は、江戸時代の享保年間(1718~35年)といわれます。その製造技術が一大飛躍を遂げたのは、天明8(1788)年に現在の台東区にある下谷稲荷町の広徳寺前で創業した「泰地屋東作(たいちやとうさく)」に負うところが多いと言われています。
江戸和竿は、布袋竹(ほていちく)、矢竹(やだけ)、淡竹(はちく)、真竹(まだけ)といった何本かの異なる竹を継ぎ合わせて一本の釣竿にする「継竿」です。現代の江戸和竿職人の系譜をさかのぼると、大部分の人が初代泰地屋東作にたどりつきます(一部東作一門外に名人と言われた人もいました)。

和竿作りは、竿師(伝統的技法を受け継いだ職人)自らが竹林へ直接足を運び、竹を選別することから始まります。一本一本吟味して選定しますが、良竹は100本のうちせいぜい1本か2本ぐらいだといいます。竹はその後、油抜きをし、約1カ月以上、天日で乾燥させたのち屋内にて2~3年以上自然乾燥させて使用します。
切り組み、火入れ、矯(た)めの重要な工程を経て、釣る魚、釣り方、釣り場、使用条件などを考えて、江戸和竿は選りすぐりの天然の竹を用い、伝統的な技法による丹念な手仕事によって生まれます。海、川 、渓流などの釣り場や対象となる魚、釣り方に応じて作られており、機能的な実用性と、美しさを兼ね備えた伝統工芸品です。

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