伝統工芸品

Traditional crafts in Taito city

えどはけ

江戸刷毛

もともと刷毛はたいへん古くから作られてきましたが、文献の記録としてさかのぼれるものは平安時代(794~1185/1192年)で、キビの毛や麻の毛で作られた、漆を塗るための刷毛について記されています。
江戸時代中期の享保17(1732)年発行の「万金産業袋(ばんきんすぎわいぶくろ)」には、当時のいろいろな刷毛が図入りで紹介されており、その中に「江戸刷毛」の名称が確認できます。今日では、経師(きょうじ)刷毛、染色刷毛、人形刷毛、漆刷毛、木版刷毛、白粉(おしろい)刷毛、塗装刷毛の7種類が江戸刷毛として指定され、表具や料理用、蒔絵(まきえ)用などに使われるほか、古い芸術作品の修復など、職人が使う道具として信頼を得ています。

現在は、素材として人毛や馬、鹿、山羊などの獣毛やシュロなどの植物の繊維が使われています。「ムラ塗りが出ない」「腰がある」優良な刷毛の命は毛先といわれ、用途にあわせて厳しい目で素材が吟味されます。職人の繊細な刷毛さばきに重大な影響を与える癖や脂分のある毛は、毛先を整えるとともに癖直しと脂分の除去を丹念に行っており、刷毛を作る時間の大半が費やされるほどの、大切な工程です。

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