伝統工芸職人

Traditional Craft men & women in Taito city

東京三味線

竹内 康雄

中国の三弦を祖とする三味線は、まず14世紀末に琉球国に伝わり、その後、室町時代末期に鳥取・境港へと伝来し、そこから日本国内へ広まっていきました。寛永のころ、日本の三味線音楽の基礎の完成とともに、東京三味線の現在のかたちが確立され、広く人々に普及したといわれています。おもに歌舞伎の長唄や小唄の演奏に使用される楽器として知られています。

東京三味線を製作する「東京三味線 竹うち三味線店」で、三味線を作る職人の“三絃師”である竹内康雄さんはこの道60年の職人。東京都優秀技能者(東京マイスター)、東京都伝統工芸士、台東区優秀技能者にも選ばれています。又、厚生労働大臣より平成25年に卓越技能章(現代の名工)の表彰を受けました。
昔は浅草だけで三味線・琴職人の店は28店あったそうですが、現在は2店のみと竹内さんは仰っています。同店も後継者がおらず、このままでは竹内さんの代で終わってしまうとのことです。東京三味線は職人不足に加えて、三味線を構成する素材も良質なものゆえ非常に高価なため、希少価値の高い伝統工芸品となっています。三味線の素材は、インド産の紅木(コウキ)、タイ産やミャンマー産の紫壇や花欄、国産の樫や桑のほか、皮、糸、象牙などです。これらの素材を組み立てて三味線をかたち作っていきます。「世界中からやってきたさまざまな素材や他の職人が作った部品を組み立てる最終工程を担うのが三味線職人の仕事」と竹内さんはいいます。工程の途中途中で音の確認をしながら作業を進める必要があるため、職人には長年の経験と勘が必須。竹内さん自身も三味線の演奏に長けています。手作業で丁寧につくられた三味線は、深く、重みのある音色を奏で、聴く人を魅了します。

竹うち三味線店