とうきょうくみひも
東京くみひも
組紐(くみひも)の歴史は古く、その技術・技法は中国や朝鮮を経て奈良時代(710~794年)に伝えられ、仏教の伝来に伴うお経の巻き物や袈裟(けさ)、貴族の礼服の束帯(そくたい)さらに武士の台頭による兜(かぶと)や鎧(よろい)のおどし糸や刀の柄巻(つかまき)、着物など、時代とともにさまざまなものに使われるようになりました。
組紐の生産は、武士の生業として行われていたといいます。江戸時代(1603~1867年)、徳川幕府の開設によって武家の中心地が江戸になったことから、江戸が一番の産地となりました。
しかし明治時代(1868~1912年)に入り、廃刀令が出され武士がいなくなったことで需要が激減し、組紐業の存続が危ぶまれたこともありました。そんな折、芸者が「お太鼓結び」と呼ばれる組紐を使った帯の結び方を考案し、それが広まっていったことで組紐の需要は復活し、現在では帯締めや羽織ひも、ネクタイから携帯ストラップに至るまで幅広く愛用され、今に受け継がれる伝統工芸品となっています。
色とりどりに染色した絹糸を組み上げて作られる組紐のなかでも、とくに東京くみひもは、糸が交差する組み目と、京の王朝貴族の華やかさとは対照的な江戸のわび・さびを感じさせる渋好みの色合いが魅力となっています。