桐工芸
宮田 和彦
宮田 和彦さんは株式会社箱長の桐木目込み細工の職人です。
宮田さんのおじいさんやお父さんは、兄弟と一緒に桐木目込み細工の職人をしていました。
「子どもの頃から職人たちを大勢見ていたので、職人に教えてもらって門前小僧のような状態でした。モノづくりも好きだったので、自然と職人の道を選びました。」と宮田さんは振り返ります。
宮田さんが職人を長年してきて感じることは、伝統工芸の技術は継承していきながらも、
作るモノは時代のニーズに合わせていかないとお客様は買ってくれないということ。
箱長は時流を常に追いかけているので、伝統工芸の職人の中では少し変わっているかもしれないと宮田さんは言います。
「たとえば、今では一般的な製品となったティッシュボックスを箱長では1970年頃に作っていました。当時は誰もがティッシュを使う時代ではなかったので、まったく売れませんでしたが、10年くらい経ってから売れるようになりました。」
「最近人気なのは、ソーイングボックスです。かつては嫁入り道具の必需品として針箱がありましたが、今の時代は裁縫と言ってもボタンづけくらいしかしない時代。そのため、軽くて場所をとらないサイズの箱に持ち手をつけて、ソーイングボックスを作りました。」
宮田さんがやりがいを感じるのは、自分が思った通りにきちんと仕上げることができ、品物を届けた後にお客様から電話や手紙がもらったとき。
それに加えて、「全国の百貨店に行くと、私が来るのを楽しみにしてくれているお客さんがいること。そういうお客様はこちらも好みがわかっているので、喜んでくれそうな品物を実演で作ることもあります。お客様が楽しみにしてくださると、職人として幸せを感じます。」と宮田さんは話します。