江戸手描提灯
山田 記央
山田記央さんは山崎屋源七提灯店の8代目。東京の多くの提灯は製造と文字描きが分業化しており、山田さんは江戸手描提灯の職人として、提灯に文字を描く仕事をしています。
江戸手描提灯は、江戸文字と呼ばれる一画一画が太い線で描かかれた大きな文字が印象的な提灯です。江戸時代以降、ろうそくの普及にともない庶民にも広まっていったと言われています。とくに浅草には多くの提灯職人が存在していました。
高校生の時に提灯の問屋でアルバイトをしたのち、20代から提灯の文字の描き方を学ぶ勉強会「提灯研究会」に通って知識や技術を深めるなど、若い頃から提灯を意欲的に学んできた山田さん。
「プリントと間違われることもあるため、あえて手描きの風合いを残すようにしています。職人によりそれぞれ個性があり、提灯を見ればどの職人が作ったかがわかるんです」と山田さんは言います。複数ある江戸文字を全部描けるようになるまでに10年はかかるそうです。
江戸手描提灯は、店舗の看板や祝い品としてや、地元の三社祭など祭の装飾用の需要がメイン。山田さんの作品は、雷おこし店の「常盤堂雷おこし本舗」、天ぷら店の「三定」、浅草寺仲見世通りでも使われています。また、大きな祭がないために多くの提灯屋が廃業してしまった地方から、依頼が来ることも少なくないそうです。「『浅草なら提灯屋がある』というイメージがあるようですね」と話します。
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(業種の歴史・製造行程・道具などを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)
山崎屋源七提灯店
住所:台東区雷門2-9-9
営業時間:09:00~19:00
TEL:03-3841-8849
定休日:日曜・祝日