伝統工芸職人

Traditional Craft men & women in Taito city

江戸鼈甲

磯貝 實

べっ甲とは、タイマイというウミガメの甲羅から作られた製品のことです。半透明で光沢があり、主に黄色と黒いとのまだら模様の素材で、簪、櫛、根付、お守り、アクセサリー、ストラップ、三味線のバチなどに加工されています。

元は皇族など身分の高い人のものでしたが、戦後、庶民にも普及しました。その後1990年代にタイマイの輸入が出来なくなったため、タイマイの在庫を持たない職人が廃業し、現在では希少価値が高いものとなっています。
「ベッ甲イソガイ」代表の磯貝實さんは江戸鼈甲の職人。實さんの父が、タイマイの輸入が停止される十数年前から「これからタイマイは手に入らなくなるだろう」と、實さんの給料を削って、そのぶんでタイマイの在庫を確保していました。当時は贅沢できませんでしたが、その父の先見の目のおかげで今はタイマイの蓄えがあり、實さんは職人を続けていられるということです。
 べっ甲作りは、甲羅に光を当てて透かしながら使いたい柄の部分を型うちし、糸のこを使って切り出していきます。さらにそれと近い色合いの部分を探して2枚、3枚と切り出します。熱した鉄板と蒸しタオルで甲羅に熱を入れて粘りけを出し、平らに伸ばします。特殊なやすりであるガンギや、小刀などでもともと付いていた傷を取り除き、今度は逆に耐水ペーパーやとくさで細かな傷を付けます。この目粗しと呼ばれる作業によって、べっ甲同士の接合力を高めます。そして、熱した鉄板で挟み込み、接着剤を使わずに数枚のべっ甲同士を張り合わせます。貼り合わせたべっこうは糸のこやヤスリを使って形を整え、耐水ペーパーやとくさで下地を整え、回転するバフ(羽布)に研磨剤を含ませ磨きます。最後は鹿革で拭き上げて完成です。

ベッ甲イソガイ
住所:台東区浅草1-21-3
営業時間:10:00~19:00
TEL:03-3845-1211

定休日:水曜

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