東京銀器
上川 善嗣
上川善嗣さんは東京銀器を製作する職人「銀師」(しろがねし)。銀を器や置物、装飾具などさまざまな用途の作品へと加工します。まず銀を打って「鍛金」して成形し、模様を付けるための金槌で、丸槌目、ござ目、岩石目などと呼ばれる模様を付ける他、たがねを使って彫刻をする「彫金」という技術で模様を施すこともあります。
上川さんは銀器作りを家業とする家に生まれたため、子供のころからこの世界に慣れ親しんでいましたが、外に出て社会勉強が必要だと考えて上川さんは、大手貴金属メーカーに入社しました。金属を加工する部署に配属され、その後、総務部や人事部も経験。母親が体調を崩したことをきっかけに退職し、「お客様と関わりながら職人をやりたい」と実家の日伸貴金属で銀器職人になりました。会社時代の経験は家業でも役に立っていると上川さんは話します。
銀器の最大の特徴といえば、その美しさはもちろん、お手入れをしながら末代まで、長く使えるということ。
『用の美』(=実用的で美しい)が日本の伝統工芸。西洋では『用』(実用品)と『美』は別々に考えられています。この文化のちがいが、海外だけではなく日常で工芸品を使ってこなかった世代に見直されてきています」と上川さん。
日伸貴金属では工房体験も行っており、銀のしおりやリング、ぐい飲みなどの作成が可能です。最近は女性を中心にものづくりをする人が増えていると感じる上川さん。体験工房に来て、「プロが作るとこんなに違うのか!」と驚かれることも多いそうです。
「体験を通じて、本物を知って頂き、身近に伝統工芸品を感じてもらうきっかけになればうれしいですね」と上川さんは話します。
ショートver.(1分33秒)
ロングver.
(業種の歴史・製造行程・道具などを詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。9分2秒)