えどきりこ
江戸切子
切子とは、「切った」という意味で、ガラスの表面を削って模様を付けたガラス工芸品を言います。
おもに食器や、酒器、花びんなどが作られています。金属や砥石を回転させるグラインダーという機械を使って、ガラスの表面に植物や竹かごの目などの模様を切り出します。ガラスの立体的な模様に光がはね返り、キラキラとかがやき、とてもきれいです。
<歴史>
江戸切子の始まりは、今から約180年前の江戸時代の終わり頃、日本橋・大伝馬町でビードロ(ガラス)屋をしていた、加賀屋久兵衛と言われています。久兵衛はビードロの作り方を大坂で学び、江戸(現在の東京)に戻った後にビードロ屋を開き、眼鏡、温度計、比重計(はかり)等を作っていきました。
今から約140年前の明治時代、イギリス人技術者の教えによって、高度なカット技術を教わりました。キラキラと輝く細かな模様は、透明度の高いガラス素材「クリスタル・ガラス」を取り入れることで、さらに美しく、人気となりました。
<特徴>
江戸切子を作る時、ガラスの表面につけたカットの基準となる線や点をたよりに、複雑な模様を、厚さ1ミリ弱のガラスに細かに彫ります。まさに匠の技で、切子の特徴であるシャープで鮮やかな輝きを生み出します。上からのぞきこむと万華鏡のように光が反射します。
<匠の技ポイント>
1.ガラスの表面にカットの基準となる線や点をつける
2.表面に大まかに模様の基本となる溝を削る
3.荒く削ったものを、さらに細(こま)かくカットする
4.砥石を使ってカット面をなめらかに仕上げる
5.磨いて光沢を出す
<伝統的な原材料・素材>
クリスタル・ガラス、ソーダ石灰ガラス
<主な産地>
江戸切子は、江東区を中心に、台東区、墨田区、江戸川区、葛飾区などでも作られています。
ガラスのおもな原料である「珪石(石英という鉱物の岩石)」が、今の福島県から船で運ばれていて、そこから荷が下される川沿いの下町で、江戸切子は発展しました。