神輿

「輿こし」とは、人ひとを乗のせ、人ひとの力ちからで運はこぶ乗のり物もののことで、昔むかしは身分みぶんの高たかい人ひとを乗のせるために使つかわれていました。「神輿みこし」とは、文字もじのとおり、神様かみさまが乗のるもので、お祭まつりの時とき、神社じんじゃから「神輿みこし」に乗のり移うつった神様かみさまは、人々ひとびとにかつがれながら、地域ちいきを回まわり、地域ちいきの安全あんぜんと繁栄はんえいを願ねがうと言いう意味いみがあります。

 

＜歴史れきし＞

今いまから約やく1310年前ねんまえの奈良時代ならじだいの天平勝宝元てんぴょうしょうほうがん（749）年ねん、東大寺とうだいじ大仏だいぶつ(奈良県ならけん)を建たてる際さい、宇佐八幡宮うさはちまんぐう(大分県おおいたけん)の「神かみの輿こし」が東大寺とうだいじに向むかったという記録きろくが一番いちばん古ふるいもので、神輿みこしは長ながい歴史れきしを持もちます。

 

＜特徴とくちょう＞

神輿みこしはそれぞれ特徴的とくちょうてきな形かたちを持もち、さまざまなデザインの彫刻ちょうこくや装飾金具そうしょくかなぐ、飾かざりひもなどがあしらわれていて、神輿みこしごとに独自どくじの美うつくしさがあります。その製作せいさくには色々いろいろな技術ぎじゅつが必要ひつようとされ、専門せんもんの職人しょくにんたちが分業ぶんぎょうして製作せいさくする点てんも神輿みこしづくりの特徴とくちょうです。

 

＜匠たくみの技わざのポイント＞

①木取きどり：力ちからのかかる部位ぶいには硬かたい木材もくざいを選えらぶなど、材質ざいしつを見みながら木材もくざいを決きめ、切きり出だす

②成形せいけい：木地師きじしが様々さまざまな道具どうぐを使つかい、各部材かくぶざいで神輿みこしの各部品かくぶぶんを作つくる

③彫刻ちょうこく：彫師ほりしが神輿みこしの装飾そうしょくをする

④下塗したぬり：下地したじをヘラで塗ぬり乾燥かんそうさせては水みずとぎの工程こうていをくり返かえし、さらに中塗なかぬり漆うるし(漆うるしの木きの樹液じゅえき)を塗ぬって乾燥かんそうさせる

⑤漆塗うるしぬり：水みずとぎして上塗うわぬり漆うるしを塗ぬって乾燥かんそうさせ磨みがく

⑥箔押はくおし：漆うるしを塗ぬった上うえに金箔きんぱくを箔押はくおしし装飾そうしょくする

⑦錺かざり：型紙かたがみに合あわせたしんちゅう板ばん (金属きんぞくの板いた)に文様もんよう(同おなじ図柄ずがらのくり返かえしによって作つくられる図柄ずがら)などをきざんで飾かざりを作成さくせい、また各種かくしゅの錺かざりを作成さくせいし、金きんメッキなどをほどこす

⑧仕上しあげ：それぞれの工程こうていをし、完成かんせいした部品ぶひんを組くみ立たてて、各種かくしゅの飾かざりを取とり付つける

 

＜伝統的でんとうてきな材料ざいりょう＞

ひのき、けやき､かし、松まつなどの木材もくざい、しんちゅうや銅どうなどの金属きんぞく

 

＜台東区たいとうく＞

浅草あさくさの三社祭さんじゃまつりをはじめ、祭まつりがさかんな台東区たいとうくでは、神輿みこしを製造せいぞうする工房こうぼうが多くあり、新あたらしい神輿みこしの製作せいさくだけでなく、修理しゅうり・修復しゅうふくも大切たいせつな仕事しごととして行おこっています。