東京桐たんす

「東京桐とうきょうきりたんす」は東京都とうきょうとで作つくられる桐きりたんすの工芸品こうげいひんです。たんすと言いえば、かつては嫁入よめいり道具どうぐとして、女おんなの子こが生うまれると庭にわに桐きりを植うえて、嫁入よめいりの際さいに大きく育そだった桐きりの木きでたんすを作つくった風習ふうしゅうがあったといいます。

 

＜歴史れきし＞

たんすは今いまから約やく350年前ねんまえの江戸時代えどじだいの寛文年間かんぶんねんかんに大坂おおさかで作つくられたのが最初さいしょだと考えられています。それ以前いぜん、“たんす（担子たんす）”と言いえば、武器ぶきや茶道具ちゃどうぐなどを運はこぶのに用もちいられた箱はこのことを指さし、引ひき出だしのある現在げんざいの形かたちのものが誕生たんじょうし、「箪笥たんす」と表記ひょうきされるようになりました。

 

＜特徴とくちょう＞

桐きりはとても軽かるくて柔やわらかく、通気性つうきせいに富とんでおり、湿度しつどの高たかい日本にほんでも湿気しっけを寄よせ付つけず、虫食むしくいもしにくいので、絹きぬなどの高級衣料こうきゅういりょうの保管ほかんに適てきしており、書道しょどうの紙かみや写真しゃしんなどを保管ほかんしても色いろあせしにくいのが特徴とくちょうです。また耐火性たいかせいにすぐれており、火災かさいのときも水みずがかかると吸水きゅうすいし、内側うちがわに炎ほのおが入はいるのを防ふさぐといいます。

 

＜匠たくみの技わざのポイント＞

①使つかう材料ざいりょうを選えらび、まるのこ(工具こうぐ)を使つかって用途ようとに応おうじた大おおきさに切きっていく（木取きどり）

②桐きりの表面ひょうめんをかんな(工具こうぐ)で整ととのえる

③表面ひょうめんをバーナーで焼やく（焼やかない仕上しあげ方かたもある）

④ペーパーで磨みがき、「とのこ」という石いしの粉こなでできた塗料とりょうを塗ぬる

⑤ロウで磨みがくなどして仕上しあげる

 

＜伝統的でんとうてきな材料ざいりょう＞

桐きり

 

＜台東区たいとうく＞

一般いっぱんに広ひろがったのは今いまから約やく160年前ねんまえの江戸時代えどじだいの終おわりで、当時とうじは主おもに神田かんだや浅草あさくさで作つくられていました。今いまでも東京桐とうきょうきりたんすは、質しつの高たかい桐材きりざいを用もちい、長年ながねん受うけ継つがれた技わざで、丁寧ていねいに作つくられています。素材そざいの木目もくめの美うつくしさ、しっとりとした色合いろあいには、優雅ゆうがな美うつくしさがあります。