東京仏壇

東京仏壇とうきょうぶつだんは、今いまから約やく330年前ねんまえ、江戸えど(現在げんざいの東京とうきょう)の指物師さしものし(家具職人かぐしょくにん)が、仕事しごとの合間あいまに桑くわやけやきなどの堅かたい木材もくざいを使つかい、独自どくじの技術ぎじゅつ・技法ぎほうによって比較的ひかくてき淡白たんぱくで飾かざりの少すくない仏壇ぶつだんを作つくりだしたのが始はじまりとされています。

 

＜歴史れきし＞

日本にほんへ仏教ぶっきょうが伝つたわったのは古ふるく、今いまから約やく1340年前ねんまえの685年ねん、天武天皇てんむてんのうの詔みことのり(いいつけ)により、奈良時代ならじだいには日本にほんの各地かくちに寺てらが建立こんりゅうされ、その後あと、時代じだいとともに、仏教ぶっきょうは広ひろまりました。

今いまから約やく400年前ねんまえの江戸時代えどじだいには、仏教ぶっきょうを保護ほごする活動かつどうのもと、都市としを中心ちゅうしんに寺院じいんが多おおく建たてられ、暮くらしが安定あんていし豊ゆたかになるに従したがい、町人ちょうにんの間あいだにも仏壇ぶつだん・仏具ぶつぐが広ひろがり始はじめます。

 

＜特徴とくちょう＞

仏壇ぶつだん・仏具ぶつぐの人気にんきが高たかまり、指物師さしものしや仏師ぶっし(仏像ぶつぞうを専門せんもんに作つくる人ひと)などの職人しょくにんが仏壇ぶつだんの製作せいさくに専念せんねんするようになりました。仏壇ぶつだんに黒こくたん、紫したんなどの唐木材からきざい（東南とうなんアジアやインドの木き）を最初さいしょに使つかったのは、江戸仏師えどぶっしの三代目さんだいめ安田松慶やすだしょうけいで、今いまから約やく185年前ねんまえの1840年頃ねんごろと言いい伝つたえられています。今日こんにちの東京仏壇とうきょうぶつだんは、これらの技術ぎじゅつと江戸えど(現在げんざいの東京とうきょう)の職人気質しょくにんきしつを受うけ継つぎ、唐木材からきざいの持もち味あじと木目もくめの美うつくしさを生いかした、頑丈がんじょうで簡素かんそな仏壇ぶつだんとしての特徴とくちょうがあります。

 

＜匠たくみの技わざのポイント＞

①剣留けんどめ、ちぎり留どめおよびほぞ組ぐみなどの組立式くみたてしきによる木地きじの構造こうぞう

②地彫じぼり、崩くずし彫ぼり、透すかし彫ぼり等などの技法ぎほうによる彫刻ちょうこく

③精製漆せいせいうるしのすり漆うるし仕上しあげ

 

＜伝統的でんとうてきな材料ざいりょう＞

黒こくたん、紫したん、タガヤサン、花梨かりん、けやき、くわ、桜さくら、ひのき、杉すぎその他たの木材もくざい、天然漆てんねんうるし

＜台東区たいとうく＞

もともと浅草あさくさの浅草寺せんそうじや上野うえのの寛永寺かんえいじにより門前町もんぜんまちとして発展はってんしてきた現在げんざいの台東区地域たいとうくちいきには、多おおくの仏具職人ぶつぐしょくにんが集あつまるようになりました。その流ながれから現在げんざいも台東区たいとうくには、浅草通あさくさどおりに見みられるように仏壇仏具ぶつだんぶつぐを取とり扱あつう店舗てんぽが多数たすうあります。