とうきょううちはもの
東京打刃物
日本刀を作る技術で作られるはさみ、包丁、かんな(工具)などの刃物類を「東京打刃物」と言います。
<歴史>
日本で鍛冶(金属をたたいて鍛えたり、溶かしたりして加工する仕事)が行われるようになったのは、今から約1440年前に新羅(朝鮮半島南東部にあった国)から鍛冶工がまねかれ、鋼(金属)の鍛治法を習ったのが始まりとされています。その後、武士のための刀や剣を作る職人があらわれ、技術も磨かれていき、しなやかでいて、しかも切れ味のするどい刀剣を作ることができるようになります。
<特徴>
今から約420年前、徳川家康が江戸幕府を開くと各地から商人や職人が江戸(現在の東京)に移り住み、職人のなかには、打物鍛冶師の名前も見られます。その後、刀鍛冶職人のなかには刀鍛冶技術を生かして日常生活に必要な刃物の製作に専念する者も出てきました。さらに、今から約150年前の明治4(1871)年に廃刀令(一般の人が刀を持つことを禁止)の影響で、ほとんどの職人は業務用・家庭用刃物を作るようになりました。
<匠の技のポイント>
①鍛接:地鉄部分と鋼の間にほうしゃ(鉱物の一種)を入れ約900℃で加熱し、すぐに金づち(工具)でたたいて接合する
②焼きなまし:火床で加熱した後、炭の粉やわら灰の中に入れ、自然に冷ます
③焼き入れ:火床で約800℃に均一に熱して赤めたものを水中で急冷(刃物に硬度を加える)
④焼戻し:焼入れした刃物を再度、刃物の肌色を見ながら火床の上で低温で加熱する(刃物に適当なねばりをもたせる)
<伝統的な材料>
鋼、地鉄
<台東区>
東京打刃物の主な生産地としては、足立区、荒川区、台東区などが知られており、今も確かな技術と伝統が守られています。