とうきょうてうえぶらし
東京手植ブラシ
東京都で作られる生活用ブラシのことを言います。洋服ブラシ、ヘアーブラシ、靴ブラシや木版画用ブラシなどの製品があり、手植ブラシは機械に比べ毛が密で耐久性に優れます。
<歴史>
今から約150年前、「ブラシ(刷毛)」はフランス製ブラシを手本として製造され始めました。当時は「洋式刷毛」と呼ばれ、今から約145年前の明治10年に上野公園で開かれた第1回内国勧業博覧会では「西洋型」として好評でした。
今から約135年前の明治21年には、百三十銀行頭取の松本重太郎により日本最初の刷子製造会社が設立されます。その後、ブラシは次第に広がっていき、ブラシ製造業は東京・大阪を中心に発展していきます。
<特徴>
産業界で機械化が進み、大規模な機械によるブラシの大量生産が始まり、大阪・和歌山で工場の機械化が進むことになります。その一方、東京では耐久性が高い手植えによるブラシが作られていました。手植えブラシは引き線と呼ばれるステンレス線により連続して植毛されているため、一穴ごとに植毛されている機械植えに比べて毛が抜けにくく長く使えることが特徴です。
<匠の技のポイント>
①木地に職人自らが作製した金型を当て墨で毛を植毛する目印を付け、代々引き継がれている『特殊なきり(工具)』で穴をあける
②植毛前の毛はくしをかけてていねいに毛を整える。
③あけた穴に自らの感覚を頼りに毛の量を測り独自の方法で植毛する。(植付け)
④蓋付けを行い、釘打ちをして木地と蓋を固定、最後に毛の長さを整える「刈り込み」をする
<伝統的な材料>
毛材:植物/かるかや、パーム、パキン、シダ、ツグ 動物/馬毛、豚毛、山羊毛
木地材:桂、ホウ、ケヤキ、栗、桜、ブナ、竹
<台東区>
ブラシの種類はさまざまで、それぞれの用途に合わせて毛を使い分け、製作されています。こうした伝統的な手植え植毛による東京手植ブラシは台東区が主な産地として知られています。