えどもくちょうこく
江戸木彫刻
日本の木彫刻は豊かな表現力と細かで正確な彫りを特徴とし、栃木県にある世界遺産の日光東照宮の陽明門など、歴史に残る芸術品を生み出してきました。
現在でも、仏像、置物、みこし、葬祭具、また建築彫刻などにその技を見ることができます。
<歴史>
木彫刻の歴史は古く、今から約1310年前の飛鳥時代に、仏教とともに始まったといわれます。今から約1230年前の平安時代には多くの仏像が彫られ、その後、寺や神社の柱、欄間(日本の建築にみられる建具の一つ)などに装飾をほどこす建築彫刻が急速に発達しました。
<特徴>
江戸木彫刻の職人は、たがね(硬い物を加工する道具)、彫刻刀、かんな、のこ、きづち、げんのう(金づち)などの色々な工具を使用しています。中でもたがねと彫刻刀は種類が多く、200~300本ほど取り揃えています。これらの道具を使って、正確で生き生きとした立体的な彫刻物が作られています。
<匠の技のポイント>
①構想:作品をどのようなものにするか考え、彫刻のりんかくを取るための絵を紙に書く
② 墨付け:木に作品の大体の大きさを墨付けし、下絵の寸法に合わせてのこぎりで切り、図付けがしやすいようにかんなで削り上げる。木表、木裏、木目などに気を付ける
③図付け:材料に下絵を直接描くか、複写紙で写しとる
④ 荒ごしらえ:きづちとたがねで作品をおおまかに彫り進める。荒彫りで作品の良し悪しが決まるため、一番多くの時間をかける
⑤ 中彫り:小作りともいう。たがね、彫刻刀などでほとんど形が出来上がるまで彫る
⑥ 仕上げ彫り:形を整えた後、ていねいに彫る。木彫刻は仕上げの時、彫刻刀のみで仕上げる
<伝統的な材料>
けやき、ひのき、くす、桜、ひばなどの木
<台東区>
神社や寺の多い台東区では、長い歴史のなかでみがかれてきた木彫技術の伝統が現在に受けつがれています。