えどべっこう
江戸べっ甲
べっ甲は、ウミガメの仲間のタイマイという亀のこうらのことです。こうらのまだら模様と、手作業で丁寧に磨くことで生まれるつやが特徴です。カメは昔から長生きのシンボルだったため、べっ甲製品は長生きを願い、めでたさをあらわすものとして身につけたり、飾られたりしてきました。ネックレスなどのアクセサリーや置物も人気です。
<歴史>
江戸べっ甲は、今から約400年前の江戸時代の始め、こうらに単純な細工をしたものが作られたことから始まったと言われます。その後、貼り合わせの方法が伝えられ、複雑な形を作れるようになりました。
<特徴>
江戸べっ甲の製品は、年月がたつごとになじんでくると、多くの人に愛用されています。
江戸べっ甲の素材には、全長が1メートルを超えることもあるウミガメの一種、タイマイのこうらの質が特に向くといわれ、使われています。13枚あるこうらのうち、特に透明な部分が貴重とされています。タイマイは絶滅危惧種(いなくなってしまう危機にある生物)に指定され、今は海外からの輸入が禁止されています。こうらを手に入れるのが難しくなっているため、国内でウミガメの養殖も行なわれるようになり、研究が進められています。
<匠の技のポイント>
①削り:ガンギ、小刀、ヤスリなどの工具を使って手作業で表面をととのえる
②目あらし:ペーパーなどで細かな傷をつけて、こうら同士がくっつくようにする
③貼り合わせ:熱した鉄板ではさみ、接着剤を使わずに水だけでべっ甲をくっつける
④ 型作り:糸ノコ、小刀、ヤスリなどを使い、彫って形を作る
<伝統的な材料>
タイマイと呼ばれる大型のウミガメの一種
<台東区>
今日では、東京・長崎・大阪がこうらの三大産地として知られており、東京では台東区が代表的な生産地となっています。