えどてがきちょうちん
江戸手描提灯
「提灯」とは照明具の一種で、竹を細く割って骨とし、それに紙や絹をはって風を防ぎ、中にろうそくをともすようにしたものです。神社や寺院、店先やお祭りなどで見かけられる独特の「江戸文字」が描かれたものが「江戸手描提灯」です。
<歴史>
提灯の歴史は古く、今から約500年前にさかのぼるといわれています。今から約450年前の安土桃山時代に、今のような、竹ひごを輪の形にした骨に和紙を貼っておおう「火袋」が上下に折り畳みができるタイプが生産されるようになり、今から約400年前の江戸時代に広く普及しました。
<特徴>
提灯づくりは、江戸時代から明治時代にかけて「提灯製造」と「提灯への文字描き専門」の分業化が進みました。
提灯は照明だけでなく、あいさつや合図、またシンボルとして、長く人々の生活の中に定着してきました。現在では家紋や名前を入れたオリジナルの提灯などもつくられ、お土産やインテリア品など、さまざまなシーンで使われることが多くなりました。また、祭りや行事では提灯独特の雰囲気がその場を盛り上げています。
提灯に描く文字は、「江戸文字」が大半です。この文字を描くのが提灯づくりの要として、最も難しい作業といわれています。
<匠の技のポイント>
①分回し(コンパス)で円描きし、家紋や文字の位置を決める
② 面相筆(先の細い筆)で文字の輪郭を素描きし、輪郭の中を刷毛などで塗り込む
<伝統的な材料>
竹、和紙、墨、ろうそく
<台東区>
昔から浅草近辺には多くの描き職人がおり、今日でも台東区には江戸手描提灯の工房が多数あります。描き職人は、仕入れた火袋に文字や家紋などを描き込み、提灯を完成させることを主な仕事としています。