えどすだれ
江戸簾
簾とは、細い竹やアシ等を何本も並べ、糸で編みつないだもので、室内の仕切りや日よけ等に使われます。華やかなデザインの京簾(京都の簾)に対し、江戸簾(東京の簾)は生活を重んじ、使い勝手の良い、シンプルなデザインとなっています。
現在では、仕切りや日よけ以外にインテリアとして、また小型のものは調理用具としても使われています。
<歴史>
簾は、今から約1300年以上前に書かれた「万葉集」(日本で一番古い和歌集)に出てくるほど古い歴史を持ちます。簾に縁をつけた高級ものは「御簾」と呼ばれ、今から約1200年前の平安時代には、身分の高い人の住まいの仕切りとして使われていました。今から約400年前の江戸時代、江戸の町(現在の東京)がさかえてくると、京都の簾文化が江戸に伝わり、神社やお寺、商家、やがて一般の人の間にも広がっていきました。
<特徴>
江戸簾の特徴は、竹、はぎ、ごぎょう、がま、よし等の自然の味わいをそのまま生かしているところにあります。一番利用されているのは竹です。竹の加工は、材木のようにノコギリで切るのではなく、目に合わせて細かく割ったり、薄くしたりするため、幅や長さを一定にするのがとても難しいです。
<匠の技のポイント>
① 「下ごしらえ(竹)」:一定の長さに切り、水洗いして、ふしをカンナ(工具)で削る。ナタ(工具)で大割りし、へぎ(薄くする)を行い、小刀(工具)で小さく割り、削る。乾燥させるために、削った順序にたばねる
② 「下ごしらえ(その他の材料)」皮むけ、皮傷、ねじれ等をのぞき、細いものから太いものまで7段階位に分ける
③ 「編み」:下ごしらえした材料を一本ずつ、投げ玉を使い編んでいく(投げ玉は材料の用途によって重さを変える)
④ 「仕上げ」・・編みあがった簾の両端を大バサミで切ってそろえて、上下に桟をつける
<伝統的な材料>
竹、ヨシ、はぎ、がま、ごぎょう、イヨダケ
<台東区>
江戸時代、江戸でも簾が沢山作られるようになり、材料となる材木が隅田川を使って運ばれたことから、現在の台東区となる地域には多くの職人がいました。
現在、東京都から伝統工芸士として認められている江戸簾の職人がいる唯一の工房が台東区にあります。