どうき
銅器
銅で作られた器具や道具を「銅器」と言います。銅器は古くから広く用いられてきました。
<歴史>
日本では、今から約2700年前の紀元前7世紀頃と思われる銅製の物が発見されています。
江戸(現在の東京)で作られる銅器は鎚起銅器と呼ばれる種類です。1枚の銅板を鎚(工具)で打ちのばしたり、しぼったりして形を作ります。
火鉢に入れる炭の箱が銅製であったり、湯をわかすための道具の銅製のかまどである「銅壺」が用いられていたことが、今から約400年前の江戸時代の本に書かれています。
<特徴>
熱伝導性がよい銅器は、ヤカンなど身近な生活用品として長く親しまれ、熱がすぐに行き渡り集中しないので焦げづらくきれいに焼けることから、卵焼き鍋も人気を集めています。また、保冷にもすぐれ、コップなども人気があります。
<匠の技のポイント>
①下取り:地金(金属のかたまり)を必要な形に切る
②なまし:バーナーで焼いて地金を柔らかくする
③成形:底板を木づち(工具)でたたいて立ち上げていく
④たんきん:金づち(工具)でたたいて、しっかり形を作っていく
⑤たたき:あて金の上で形を寄せていきながらたたき、最後に表面を打つ
製品によっては、緑青(青いサビ)や硫黄などの溶液で煮込み色付けして仕上げ、その上にさらに漆(漆の木の樹液)を塗り、釜で焼きつけてツヤ出しをする
<伝統的な材料>
銅板、錫(さび止めのため銅器の内側に塗る)
<台東区>
台東区で唯一の銅器職人は、昔ながらの「鍛金」という技法で作ります。仕上げに、硫黄成分薬剤をかけることで黒く変色させ、磨くことで下地の銅の色を出していく「ブロンズ仕上げ」や緑青を配合した溶液で煮て赤錆色に染める「煮色仕上げ」いう独特の手法は、イキを好む江戸ならではの技と言えるでしょう。