ひかくこうげい
皮革工芸
動物の皮を材料とする工芸のことです。動物の皮の利用は人類が誕生して間もなくから行われていましたが、“革”加工品(動物の皮から毛を取りのぞき、なめして柔らかくしたもの)となるまでには長い時間が必要で、古代エジプトで発掘されたサンダルが一番初めの革加工品と言われています。
<歴史>
昔の日本は、食生活においては動物よりも植物を使っていたことが多かったため、革の利用は遅く、今から約1300年前の奈良時代に作られた、武具(よろいやかぶとなど)、革で作った帯、漆皮箱(皮革で作った箱に漆(漆の木の樹液)をぬったもの)などがもっとも古いものとなります。今から約400年前の江戸時代には革羽織(革で作った羽織)や煙草入れなどの製品も見られ、長い年月をかけて技術が発展してきました。
<特徴>
動物の皮はそのままではくさり、乾燥すると硬くなるため、加工の前に柔らかくする“なめし”という作業が必要となります。なめしの方法には、古くから伝わる「植物タンニンなめし(渋なめし)」と化学薬品を使う「クロムなめし」があり、“なめし”のほどこされた革を材料に、皮革工芸品は作られます。
<匠の技のポイント>
①革の表面から内部まで染める
②さまざまな色の革を型押しし、重ねて貼り合わせる
③ 貼り合わせた革をすく(薄くする)
※革の色の組み合わせ、貼り合わせ方やすき方によって、さまざまな模様の革が生まれる
<伝統的な材料>
タンニンなめし革(植物性のタンニンを使用して手間ひまをかけてなめす)
<台東区>
台東区には、長年受けつがれてきた伝統的な加工技術だけでなく、新しい技術を使い、皮革ならではの立体的な感触を持つ製品を作り出している工房があります。