すずり
硯
硯は書道の道具です。日本の書道の歴史は、今から約2300年前の弥生時代に中国から漢字が伝わったことに始まりますが、日本で文字が書かれたのは、それよりも前で、今から約2500年前のことです。
<歴史>
日本の書道は、仏教が伝わった今から約1400年前の飛鳥時代、聖徳太子が書いた本が日本で一番古いものと言われています。今から約1300年前の奈良時代には聖武天皇によって写経(仏教の教えを書き写すこと)が良いことだとされ、全国に写経所が作られたことで、大きく発展しました。
<特徴>
硯には石製のほか、瓦や陶磁器、金属などでできたものがあります。日本では、多くが陶製(焼き物で作ってあるもの)でしたが、中国で石硯(石の硯)が中心となり、日本でも石硯が作られるようになったとされます。中国の石から製作される硯(唐硯)が書斎に飾る文化があることから形のオリジナリティや美術品のような美しさが追求されたのに対して、日本で発展した硯(和硯)は、箱に収納されることから人目に触れる機会がなく、実用性が重視された作りになっています。今では硯の多くが石製で、石巻(宮城県)の雄勝石、長門(山口県)の赤間石、近江(滋賀県)の虎斑石などが日本の硯石として有名です。
<匠の技のポイント>
① 製作する硯に合わせて直方体サイズに原石から切り出す
② 刀で彫っていく(彫り)
③ 耐水ペーパーで磨く(磨き)
④ 薄墨を入れていく(はがれるリスクがある場合は漆(漆の木の樹液)を塗ることも)
<伝統的な材料>
日本産の硯石以外に、端渓、歙州、澄泥と言う名の中国産の硯石
<台東区>
硯作りの職人は多くの場合、原料の石の産地に住んで製作してますが、台東区の職人は自ら「製硯師」を名乗り、さまざまな石を使って、さまざまな硯を製作しています。硯石には貴重なものも多く、採石場(石を採る場所)にも足を運び、調査や採石をすることもあるそうです。