伝統工芸職人

Traditional Craft men & women in Taito city

神仏具錺師

川島 利之

川島錺工芸の川島 利之さんは、神社や仏閣の錺を作る神仏具錺師です。

神仏具錺師とは、神社や仏閣の錺を作る職人のことです。
金属加工の歴史は古く、弥生時代の出土品の中にも金属製の装飾品が見られます。金属の装身具は一時あまり作られなくなりますが、江戸時代になり装飾品の人気が高まり、平安時代から続く銀(しろがね)細工の技法を受け継いだ、錺職が誕生しました。飾り職は明治以降、神社仏閣の建物や、御神輿などの錺を作る職人と金や銀などの貴金属で、指輪やペンダント、イヤリングなどの装飾品を作る職人に分かれました。
神仏具錺師は、主に御神輿の部品の修理、結婚式の三々九度の儀式に使う道具、御神輿神事・仏事に係るものの錺などを作ります。
多くの工程を要する御神輿をつくる場合は、木地、金物屋、漆塗り、彫刻、彩色など、他の職人7~8人と連携します。

川島さんが職人になったのは16歳のとき。親戚のつてで、弟子を探している人がいると聞き、単身で上京しました。仕事を教えてもらった親方のもとで、伊勢神宮の大きな仕事に携わり、10年くらいかけて技術を学びました。しばらく経験を積んだ後、27歳で独立しました。

仕事の流れは、まず型の寸法を決めて、細かな模様などのデザインを考えます。その後、銅板を作るものに合わせて切る「金どり」の作業を行います。その後、鏨(たがね)という道具を使って、形や模様を作っていきます。
鏨は制作内容に合わせて使い分けるので、全部で5,000本以上はあるそうです。
職人が自ら鏨を作ることも多く、製作物にも職人の個性があらわれます。

川島さんは、これまで様々な神社仏閣や文化財の補修などを手がけてきました。
最近では、江戸東京博物館の御神輿や東京スカイツリーのエレベーター上部に設置されている金の装飾を手がけました。
デザイナーがデザインしたものの実際に作れる職人がいないということで訪ねてきて依頼されたものです。デザイナーの方と一緒に、実際に製作ができるデザインへ変更した上で、仕上げることができました。

他には、Webサイトなどを見た方から、金属の小物製作のオーダーやお芝居の小道具の制作を頼まれることもあります。「思いもよらないものを頼まれたとき、どう作ろうかなと考えるのが面白いです。」と川島さんは言います。

有限会社川島錺工芸
住所:台東区東上野6-5-2
TEL:090-1662-1951
営業時間:9:00~18:00
定休日:土日祝日