伝統工芸職人

Traditional Craft men & women in Taito city

東京桐たんす

片山 晴夫

片山桐箪笥店の片山 晴夫さんは、桐たんすをつくる職人です。
18歳で職人になり、50年ほど経ちました。

桐たんすとは桐を使用した整理だんすのことで、かつては嫁入り道具の必需品でした。
最近では嫁入り道具を準備する文化がなくなりつつあり、一般家庭の部屋数も減っているので、以前に比べて需要は減っていますが、「嫁入りのときに桐たんすが欲しかったけど買えなかった」という方が自分のために買い求めるなど、新たな需要が生まれているそうです。
桐たんすの材料である桐はとても軽いため持ち運びがしやすく、湿気を寄せつけず衣類の変色や傷みを防いでくれます。また、熱の伝わりが遅い特性があり、万が一火事にあってしまった際にも焼け残ることが多いとのことです。

桐たんすの製作では、まず木材を選別後、用途に合った厚みと大きさに切ります。次に、桐の表面をかんなで整えてから表面をバーナーで焼きます。(仕上げによってはバーナーで焼かないこともあります)
その後、ペーパーやすりで整えて、「とのこ」という石の粉でできた塗料を塗り、ロウで磨いて仕上げます。

片山さんが桐たんすを作るときに気をつけているのは、人間の目線を意識すること。
たんすを使用する人は立った状態で上から桐たんすを見下ろすため、その角度でたんすを見た時に、一番美しく見える木目の板を、表面に使用する化粧用の板として選ぶそうです。

同じ材料で、いかに価値の高いたんすを作れるかが職人の腕の見せ所であるため、1枚1枚の板だけを見ずに、どの板をどの位置に使用すると、たんす全体が美しいバランスになるかも常に考えているとのことです。

また、洋室の部屋にも合うようにバーナーで表面を焼いて加工する仕上げでは、失敗のないように慎重に作業しますが、仮に少し失敗したとしても、それをキレイに直す修正能力も職人に必要なスキルと片山さんは言います。

片山さんが、これまでで印象に残っている仕事は、桐で特注のベッドを作ったときのこと。桐は湿気を寄せつけないので、ベッドにもピッタリの素材です。

「桐たんすの場合は規格が4~5種類なので、材料の寸法はすべて頭に入っていて図面なしでも作れますが、ベッドの場合は図面を作成するところからスタートしました。
たんすと比べて使用する板が長いので機械が使えず、手作業で仕上げたので時間もかかりましたが、お客さんに満足してもらえたのでうれしかったです。」

片山桐箪笥店
住所:台東区竜泉1-18-3
TEL:090-4711-9813
営業時間:不定期
定休日:不定期