東京三味線

「東京三味線とうきょうしゃみせん」は東京都とうきょうとで作つくられる和楽器わがっきです。

 

＜歴史れきし＞

日本にほんの三味線しゃみせんのもとは、中国ちゅうごくの楽器がっき、「さんげん」と言いわれています。今いまから約やく620年前ねんまえ、琉球りゅうきゅう（現在げんざいの沖縄県おきなわけん）に伝つたえられ、蛇へびの皮かわを用もちいたので蛇皮線じゃひせんと呼よばれる楽器がっきになります。琉球りゅうきゅうから伝つたえられたのは、今いまから約やく500年前ねんまえの室町時代むろまちじだいの終おわり頃ころのことと考かんがえられています。当時とうじ、蛇皮線じゃひせんをひいている時ときに蛇へびの皮かわが破やぶれたため、より丈夫じょうぶな素材そざいを求もとめた結果けっか、猫ねこの皮かわを用もちいることを考かんがえました。そして、平たいらなばち(楽器がっきの弦げんをはじいて鳴ならすへら状じょうの道具どうぐ)で演奏えんそうするという、日本独特にほんどくとくのスタイルの三味線しゃみせんとなりました。

 

＜特徴とくちょう＞

三味線しゃみせんは「天神てんじん＝三味線しゃみせんの最上部さいじょうぶ」、「さお＝ネック部ぶ」」、「胴どう」に分わけて作つくられます。

関西地方かんさいちほうではさおづくりは分業ぶんぎょうされるのに対たいし、東京三味線とうきょうしゃみせんでは一人ひとりで仕上しあげまで行おこわれます。

西洋せいようの楽器がっきと大おおきく異ことなり、三味線しゃみせんには「さわり」という、ある種しゅの雑音ざつおんを含ふくんだ独特どくとくのひびきを生うみ出だす仕掛しかけがあります。

 

＜匠たくみの技わざのポイント＞

①つぎて作づくり：3つみっつに切断せつだんされたさおになる材料ざいりょうを、のこぎり(工具こうぐ)とのみ(工具こうぐ)で「ほぞ」と「溝みぞ」を作つくり、つなぎ合あわせていく

②綾杉彫あやすぎぼり：胴部分どうぶぶんの内側うちがわを良よい響ひびきを生うむためにのみで溝みぞを彫ほる。

③胴付どうづけけ：4枚まいに分わかれている胴部分どうぶぶんをにかわ(動物由来どうぶつゆらいのゼラチン)で接着せっちゃくする。

④皮張かわばり：三味線用しゃみせんように仕上しあげられた皮かわをまず湿しめらせ、木栓きせんを使つかい、張はり台だいにのせて縄なわをかけて徐々じょじょに皮かわを張はっていく

 

＜伝統的でんとうてきな材料ざいりょう＞

紅木こうき、したん、かりんなどの木き

皮かわ（猫ねこ、犬いぬ）

生糸きいと

 

＜台東区たいとうく＞

台東区たいとうくの他ほかに産地さんちとして中央区ちゅうおうくや豊島区としまくなどがあり、台東区たいとうくには、今いまも確たしかな技術ぎじゅつと伝統でんとうを守まもりながら、胴どうに張はる皮かわにカンガルー皮がわを使つかうなど新あらたな試こころみも行おこなう職人しょくにんもいます。