えどしっき
江戸漆器
木の器などに、漆の樹液を塗って作っていくものを「漆器」と言います。漆は木の名前で、その木からとれる樹液も漆と呼びます。お正月などの特別な日に、鮮やかな朱色や金などの飾りがされ、表面が美しく光るお椀や重箱が使われます。日本では古くから漆器が作られ、暮らしの中で使われ続けてきました。また、海外で日本を代表する工芸品の一つとして知られています。
<歴史>
江戸漆器は、今から約435年前の1590年頃江戸(現在の東京)に入った徳川家康が、京都の漆職人を招いたのが始まりとされています。漆塗りや蒔絵の技術が進み、完成され、一般の人にも日常漆器として使われていきました。
(蒔絵:漆で絵や文様を描き、漆が固まらないうちに蒔絵粉(金・銀などの金属粉)を蒔いて表面に装飾を行います。粉を蒔いて絵にするところから蒔絵と呼ばれています。)
<特徴>
江戸漆器は、お茶の道具や座卓をはじめ色々な製品が作られており、なかでも、そば道具やうなぎ重箱などの業務用食器が多く作られているのが特徴です。
漆は一度乾くと酸やアルカリなどの影響を受けず、熱や電気を通しづらい性質を持っています。漆は塗料としての役割だけでなく、汚れやサビや腐りを防ぐほか、強い接着剤としての働きもするので、漆製品はとても長持ちし、親子数代にわたり大切に使っている家庭もあります。
<匠の技のポイント>
① 下地造り:地の粉(目の荒い砂)と漆を混ぜたものを塗り、砥の粉(より細かい砂と水と漆を混ぜたもの)を塗り重ね、下地とする
② 塗り:漆を塗って、乾燥させ、磨く。これを何回も繰り返す
③ 絵を描く:顔料(色の元となる粉)を混ぜた漆や金や銀、貝殻や真珠などを使って絵や模様を描く
<伝統的な材料>
漆:天然漆
木:栗、けやき、ホオノキ、桜、桂(またはこれらと同じ材質を持つ木)
<台東区>
お祭りが盛んで寺社仏閣が多い台東区では、器や箸などの一般的な作品だけでなくおみこしや仏具などを修理するために漆塗りを行う職人もいます。