えどわざお
江戸和竿
江戸和竿は、何本かの異なる竹を継ぎ合わせて一本の釣竿にする「継竿」です。職人自ら竹林で選び抜いた天然の竹材を用い、伝統的な技でていねいに作られます。
<歴史>
「継竿」は、京都ではじまったことがわかっていますが、江戸(現在の東京)における継竿は、今から約300年前の江戸時代の享保年間と言われます。その技術が大きく発展したのは、今から約240年前の天明8年に現在の台東区で創業した「泰地屋東作」の存在が大きいと言われています。
<特徴>
和竿作りは、竿師(伝統的技法を受けついだ職人)自らが竹林へ直接足を運び、竹を選ぶことからはじまります。一本一本よく見て選びますが、良い竹は100本のうちせいぜい1本か2本ぐらいだといいます。竹はその後、油抜きをし、約1カ月以上、天日で乾燥させたのち屋内にて2~3年以上自然乾燥させて使用します。江戸和竿は選びぬかれた天然の竹を使い、伝統的な技法により生まれます。海、川、渓流などの釣り場や魚、釣り方に応じて作られています。
<匠の技のポイント>
①切り組み:作ろうとする竿の種類に応じて長さ・調子などを考え、竹を選び切る
②火入れ(ため):竹に火を通しながら油抜きをし、まっすぐにする
③継ぎ:継ぎ方は並継ぎかいんろう継ぎで、継ぎ口を寸分のヌキのないように仕上げる
④ 塗り:精製漆(漆の木の樹液を練ったり、水分を飛ばしたもの)のすり漆仕上げ、刷毛塗、指で数十回塗る
<伝統的な材料>
竹、絹糸、天然漆
<台東区>
現代の江戸和竿職人の歴史をたどると、大部分が台東区で創業した「泰地屋東作」にたどりつきます。