かんばんちょうこく
看板彫刻
看板は、お店に掲げてお店の名前や商品を広告するもので、看板彫刻は、木の板に文字や模様を彫り、色付けして看板に仕上げます。
<歴史>
看板の歴史はとても古く、日本に伝わってきたのは、今から約1400年前の飛鳥時代と言われています。今から約1300年前の奈良・平安時代には、市場で売る商品にしるしを立てるようにと決まりができ、これが今でいう「看板」の始まりだと言われています。
板に書いて長年の使用にたえられるようにしたのは、今から約450年前の室町時代の終わり頃といわれ、商店にあるものを分かりやすくした絵馬のような物も登場します。今から約400年前の江戸時代になり、商業が発達すると、看板は最も効果のある宣伝方法として、さまざまな工夫がされるようになります。
<特徴>
看板彫刻師は、「筆耕(書き師)」に書いてもらった文字を看板のサイズに合わせた和紙に拡大プリントして木地に貼り、文字や柄の形に合わせて周りを彫刻刀で彫っていき、ツヤ出しをし、色を塗って仕上げます。一時期、木彫看板は少なくなりましたが、木の温かみやなつかしさ、自然な風合いなどが見直されるようになり、人気が戻ってきました。
<匠の技のポイント>
①木地に文字をプリントした和紙を貼り、文字や柄の形に合わせて、彫刻刀でヘリ部分がなだらかになるように周りを彫っていく。(かまぼこのように丸みがある状態)
②下地を塗って木の目を埋めて平らにし、水ペーパー(使う時に水をつけて磨く道具)で研いでは塗る作業を3回以上繰り返してツヤを出す
③色を塗り、残っている紙をはがして仕上がり
<伝統的な材料>
主にけやき、ひのき、ひばなど
<台東区>
製作工程の機械化が進むなか、台東区の伝統工芸である「看板彫刻」は、江戸時代の文字彫刻をする額師から、伝統と技を受けつぎ、あくまで手彫りにこだわっています。一彫り、一彫りが、手作業のため、ぬくもりある風合いや、文字に合わせた彫りの変化が持ち味として、愛され続けています。