いんしょうちょうこく
印章彫刻
印章(印鑑)とは、木や角、石などに文字や模様を刻み、印肉(色をつけるための色料)で押すものです。手彫りで印章を作るのが、印章彫刻です。
<歴史>
印章が作られたのは、今から5000~6000年前とされています。日本へは、今から約1400年前の飛鳥時代に中国から渡ってきました。701年に大宝律令(日本で初めて国の基本的なルールをまとめたもの)が制定され、大切な書類に印章が使われるようになりました。
<特徴>
木や角、石などの印材(印章の材料)を使う印章のほか、桜や椿、竹、茶、ドウダンツツジなどの小枝を使った印材に文字だけでなく干支や動物、似顔絵などの絵柄を彫ったユニークな印章もあります。この印章は、10年間寝かせて乾燥させた印材を使うことによる自然な木の質感と、一つ一つ手彫りされた温かみが魅力となっています。
<匠の技のポイント>
①10年置いて乾燥させた木を印章の長さに切り整える
②研磨剤(ガラスなど)を敷き、印材の押す面をその上でこすって表面を平らにする
③平らにした面全体に朱墨(黄色がかった赤色の墨)を塗り、墨で文字や絵柄を書いていく
④文字や絵柄の部分が残るように周囲を印刀(印章を彫る専門の刀)で削っていく
⑤ 字や絵柄のまわりをきれいに整えていく
<伝統的な材料>
印材(10年寝かせて乾燥させる)、朱墨
<台東区>
機械で生産されることが主流となった現在でも台東区には、あくまで手彫りにこだわり、また自然木によるオリジナルの小枝印鑑を考え、実用新案(発明したものを登録すること)を取得している職人がいます。