きりこうげい
桐工芸
桐材は、日本で古くから良質な木材として使われてきました。その桐材を使って、たんすや小物家具を製作します。
<歴史>
今から約400年前の江戸時代に桐工芸は始まったとされます。桐はとても軽くて柔らかく、また通気性に富んだ優れているという特性を生かして、様々な製品が作られてきました。
<特徴>
台東区には、たんすや小物家具を製作する桐工芸のなかでも、今から約150年前の明治時代に独自の「桐木目込み細工」というジャンルを切り開き、製作をしている工房があります。
「桐木目込み細工」とは、桐の表面に鈴やひょうたん、とんぼなどの縁起の良い物を図柄で装飾する技法です。数十種類の彫刻刀を使い図案を彫り、和紙で裏打ちした正絹の着物地(古い貴重な布)を木目込んで作りあげる美しく華やかな工芸品です。桐箱、ティッシュケースや小物入れなどのインテリア小物などは人気を集めています。
桐工芸には「美術桐箱」もあります。美術品や茶道具、宝飾品などの価値がさらに高まるよう、職人により丁寧に作られた桐箱です。
<匠の技のポイント>
①図案に合わせて下地彫りを行う。まず図案をふち取りするように彫っていく(筋彫り)
②筋彫りをさらに立体的に斜めに彫り込む(さらい彫り)
③三角刀を使ってみぞを彫っていく(やげん彫り)
④みぞに色をつける(彩色)
⑤和紙で裏打した正絹の着物を図柄に合わせて切り、ヘラを使って彫ったみぞにしっかり入れ込む(木目込み)
<伝統的な材料>
桐、年代物の着物地(古代布)および正絹着尺反物地の端切れ
<台東区>
「桐木目込み細工」は、日本でただ一軒、台東区の伝統工芸職人が考案した技法です。