伝統工芸品

Traditional crafts in Taito city

ききんぞくかこう

貴金属加工

金属の装飾品の歴史は古く、弥生時代(紀元前10世紀頃~紀元3世紀中頃)の出土品のなかにも見られます。古墳時代の終わり以後、装身具全般があまり作られなくなり、金属の装身具もいったんはほぼ途絶えてしまいます。
金属製の装飾品が発展するのは17世紀、装飾品の人気が高まる江戸時代(1603~1867年)になってからで、金属加工専門の職人として、平安時代(794~1185年/1192年頃)から続く銀(しろがね)細工の技法を受け継いだ、錺職(かざりしょく、または錺師)が誕生します。
もとは主に鍛金(たんきん)や鎚金(ついきん)など金属を槌(つち)でたたいて加工を行っていた錺職でしたが、細金(ほそきん)細工や彫金、鑞付(ろうづけ)や鍍金(めっき)といった金属加工技術なども身につけ、さまざまな技法で金属加工を行っています。

かつては指輪、簪(かんざし)などの装飾品のほか、鎖、煙管(きせる)などの日用品、箪笥(たんす)、長持(ながもち)など家具や神輿(みこし)、車などの金物や家形飾(やかたかざり)などさまざまなものを製作してきた錺職は、明治時代(1868~1912年)以降、神仏具や神輿などの飾りを主として製作する神仏具錺師と、装身具などの製作を行う金銀細工師などの貴金属加工とに専門分化しました。
宝石・貴金属店が多く存在する台東区では、錺職の流れを引く伝統的な貴金属加工の技術で、ネックレスや耳飾り、指輪、ブローチなどのアクセサリー作りが行われています。

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