金銀砂子画
「金銀砂子(すなご)」とは、金箔や銀箔などを細かい粉状、ないしはごく細く裁断したもの(切箔(きりはく))や細い糸状に切断したもの(野毛(のげ))を用いて装飾を行う日本独自の技法です。その歴史は平安時代(794~1185年/1192年頃)末期にまでさかのぼると言われ、以来、写経や巻物、後に襖(ふすま)や屏風(びょうぶ)、書物の表紙の装飾に長いあいだ使われ続けていて、各地の歴史的建造物の襖や、巻物、屏風といった美術品などに見ることができます。近年では、フィルムなど和紙以外の素材に金銀砂子を施すなどの試みもなされています。
薄い膠(にかわ)液を塗った紙や板の上に、金箔や銀箔を切箔や粉(砂子)に加工して、ふりかけるように撒(ま)いて模様を描くことを金銀砂子細工と言いますが、台東区には、金銀砂子で絵を描く「金銀砂子画」を製作する職人がいます。
長く受け継がれてきた日本の伝統の技法を用い、その繊細な味わいを生かしながら、絵画としてオリジナリティのある立体感に溢れた作品を作り続けています。
■技のポイント
- 竹をナイフのように使用して、金箔を切って切箔をつくり、さらに補足糸状に切って野毛(のげ)をつくる
- 紙や板などに膠を塗り、金粉を入れた竹筒をトントンと軽くたたいて、少しずつ金粉を落として模様を描き、野毛などの切箔なども置いていく
- 膠が乾いたところで「とめ」をひき、金の油をおさえて密着させる
■伝統的な素材
金箔、金粉、銀箔、膠、ときに漆
■特殊な道具
切箔をつくるため、竹の皮をナイフ代わりにしたもの
■工房紹介
深匠(しんしょう)
田部井稔
台東区松が谷4-22-1
03-5828-1130