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とうきょうしゃみせん
東京三味線
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東京三味線

日本の三味線の祖は、中国の元の時代(1271~1635年)に誕生した楽器、三絃(さんげん)です。14世紀末に琉球(りゅうきゅう)に伝えられ、蛇の皮を用いたので蛇皮線(じゃひせん)と呼ばれる楽器になります。琉球を経て日本に初めて伝えられたのは室町時代末期の永禄年間(1558~1570年)頃のことで、堺の港からであったと考えられています。
当時、琵琶法師(びわほうし)が蛇皮線を弾いている際に蛇皮が破れたため、より頑丈な素材を求めさまざまな動物の皮を試した結果、猫皮を用いることを考えました。加えて、琵琶の平たい撥(ばち)で演奏するという、日本独特のスタイルの三味線となったのです。
寛永年間(1624~45年)頃には、神田治光(かんだはるみつ)や石村近江(いしむらおうみ)といった名工が現れます。三味線の種類は、津軽、義太夫三味線として使われる「太棹」、小唄、民謡三味線に使われる「中棹」、長唄三味線に使われる「細棹」と棹の太さで3つに分類されるなど、三味線音楽の発展とともに、三味線作りも発達しました。

三味線は「天神=三味線の最上部」、「棹=ネック部」」、「胴」に分けて作られます。関西地方では棹づくりは分業されるのに対し、東京三味線では一人で仕上げまで行われます。
産地としては、台東区の他に中央区や豊島区などがあり、台東区には、胴に張る皮にカンガルー皮を使うなど新たな試みを行う職人もいます。

西洋の楽器と大きく異なり、三味線には「さわり」という、ある種の雑音を含んだ独特の響きを生み出す仕掛けがあります。この響きの余韻を好んで味わう日本人の感性は、原色よりも中間色を好み、澄んだ純粋な音よりも、複雑な倍音(ばいおん:ある音の整数倍の周波数の音)を含んだ音を好む民族性に由来するもののようです。

■紹介動画
■匠の技ポイント
  • 継手(つぎて)作り:3つに切断された棹になる材料を、鋸と鑿(のみ)で「ほぞ」と「溝」を作り、徐々につなぎ合せていく
  • 綾杉彫り:胴部分の内側を良い響きを生むために鑿で溝を彫ります。(その形から綾杉彫と言われる)
  • 胴付け:4枚に分かれている胴部分を膠(にかわ)で接着する。
    (楕円状の堅木を膠だけでもたせるので、その接着面は精巧さを要求される)
  • 皮張り:三味線用に仕上げられた皮をまず湿らせ、木栓(きせん)を使い、張り台にのせて縄をかけて徐々に皮を張っていく
■伝統的な原材料・素材

紅木(こうき)、紫檀(したん)、花櫚(かりん)、皮(猫、犬)、生糸

■製作に使われる特殊な道具など

木栓(きせん:皮を張るために使われる道具)

■工房紹介

菊岡三絃店
堀込泰成
台東区根岸3-12-12
03-3873-2087
https://craft.city.taito.lg.jp/craftsmaker/2318/