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かたぞめ
型染め
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型染め

染物の歴史はたいへん古く、その一種である「型染め」は奈良時代(710~794年)前期に大陸から日本に伝えられたといわれ、型染めを用いた染物の代表的なものとして、京友禅(型友禅)、江戸小紋、沖縄の紅型(びんがた)などが挙げられます。そのうち「江戸小紋」は室町時代(1336~1573年)を起源とし、江戸時代(1603~1867年)初期の武士の装い「裃(かみしも)」を通じて発展し、江戸・東京で伝統的な染物として親しまれてきました。江戸小紋をさらに洗練させた「染小紋」も生み出され、なかでも東京で型彫りをして染められる染小紋は「東京染小紋」として経済産業省および東京都の伝統工芸品に指定されています。

伝統的な型染めの技法は、手漉(てす)き和紙に柿渋を塗った丈夫な「渋紙」に文様を手彫りした型紙を生地に当て、もち米に糠(ぬか)を混ぜて練った糊(のり)に染料を混ぜた「防染糊」や「色糊」を用いて型紙の模様に染めていきます。色が定着したところで余分な糊を水洗いして落とし、乾燥させて仕上げます。江戸小紋など単色の場合には型紙は1枚ですみますが、多色の染物には通常その色数の型紙が必要になるなど、非常に手間暇のかかるものです。

さまざまある型染めの技法のなかで特殊なものに、小さめの型紙1枚を用い、小さめの刷毛(はけ)や筆で色を差して多色染めを行う「手差し型染め」という技法があり、なかには「ぼかし染め」の技法でグラデーションを表現する職人もいます。小さな型紙を使っているため、小さなものに染色することができ、また紙以外にも木や皮なども染めることができることから、手拭、風呂敷、ハンカチ、あるいはペンケース、めがねケース、印鑑ケース、日傘、お弁当箱など、これまでにないさまざまなものの染色に型染めの技法が応用されています。
一方、型染めの一種「型絵染め」も古くから日本で行われてきた伝統的な染色技法の一つで、模様の下絵を描いて薄紙に写し取り、渋紙に薄紙を貼って下絵に従って彫り、型紙を作ります。出来上がった型紙の上に糊をおいて色を差すことを繰り返すことで、絵のように多彩に染め、美しい模様の染め物を作り出します。

■匠の技ポイント

何種類か型紙を組み合わせて、さまざまな文様を染めていく

■伝統的な原材料・素材

糊(もち米に赤糠を混ぜたもの)

■特殊な道具

伊勢型紙、へら、水洗いの済んだ染色生地の乾燥に用いられる張り手、伸子(しんし)

■工房紹介

藤本染工芸
藤本義和・山田恵美
八王子市元横山町1-24-2
http://fujimotosen.jimdo.com/